KiroとMCPで「自分専用の試験官」を作る——AWS Certified Generative AI Developer - Professional 合格と生成AI学習ハックの全記録

■ はじめに

2026年、AWS全冠をめざすようなエンジニアにとって、今最もエキサイティングで「プラスアルファ」の価値がある挑戦が、この「AWS Certified Generative AI Developer - Professional(以下、AIP-C01)」の取得です。

私は今回この新資格の取得にあたり、従来の「参考書を読み込む」スタイルを卒業し、「Kiro」と「MCP(Model Context Protocol)」を組み合わせた自律型学習環境を構築しました。本記事では、その具体的な学習プロセスと、最新AIサービスを使い倒したハック術を共有します。

本記事は2026年1月時点の情報に基づきます。

※注記:本記事で紹介する学習システムは、あくまで公式の試験ガイドやSkill Builder等のリソースを十分に理解した上で、問題演習の量を補完するために構築したものです。合格への近道は、まず公式ドキュメントとサービス概要を徹底的に読み解くことにある、という点を念頭に置いて読み進めていただけますと幸いです。

■ 対象読者

  • AIP-C01の受験を検討している方
  • 試験対策問題が少なくて困っている方
  • 2026年最新のAWS AIツール(Kiro、MCP)の具体的な活用例を知りたい方

■ 背景:なぜこの試験に挑んだのか

私は直近の業務で、Amazon Bedrock Agentを活用したコンソール操作の自動化プロジェクトを完遂し、一部運用稼働を約80%削減する仕組みを実現しました。

この知見については、2026年1月に開催されたGov-JAWS 第5回イベントにて、「Amazon Bedrock Agentを用いたガバメントクラウド運用業務の生産性向上」というテーマで登壇・発表させていただきました。

こうした実務とコミュニティでのアウトプットを通じて、「生成AIを実務に組み込むための体系的なベストプラクティス」を自分の中で一度、整理し直したいと考えたのが、受験を決めた大きな理由の一つです。

……と、格好いい理由を並べましたが、実はもう一つ、非常にシンプルで強力なモチベーションがありました。それは、「先着5,000名限定のEarly Adopterバッジ」が欲しかったからです。

新しい技術が登場した際、その最前線にいる証明としての「Early Adopter」の響きには、エンジニアとしての純粋な知的好奇心も受験を後押しする決定打になりました。実務での手応えと、「せっかくなら一番乗りしたい」という単純な動機が、結果的に背中を押してくれました。

■ 【前半】AIP-C01 の概要と基本戦略

本試験は、単なるAIの知識ではなく「AWS上でいかにAIアプリケーションをセキュアかつ効率的に実装するか」を問う非常に実践的な内容です。

1. 試験の概要

本試験は、開発者が生成AIアプリケーションを構築・デプロイ・最適化するための高度なスキルを測定します。

  • 問題数:85問(選択式または複数選択式)
  • 制限時間:205分(集中力の持続が鍵となります)
  • 合格ライン:750 / 1000点
  • 主要ドメインと比重
    • コンテンツ分野 1(31%):基盤モデルの統合、データ管理、コンプライアンス
      • ユースケースに最適なモデル選定から、ベクトルデータベースを活用した RAG 構成の設計、およびデータの法的遵守まで、GenAI アプリの「土台」を構築する力が問われます。
    • コンテンツ分野 2(26%):実装と統合
      • Amazon Bedrockなどを用いた API 実装に加え、AI エージェントの実装や外部サービスとの連携など、具体的な「作り込み」の技術が重視されます。
    • コンテンツ分野 3(20%):AI の安全性、セキュリティ、ガバナンス
      • Amazon Bedrock Guardrailsなどを用いたコンテンツフィルタリングや PII 保護など、エンタープライズ利用に不可欠な「責任ある AI」の実装手法が問われます。
    • コンテンツ分野 4(12%):GenAI アプリケーションの運用効率と最適化
      • スループットの最適化やコスト管理に加え、キャッシュ戦略や効率的なプロンプト管理など、商用環境での「持続可能な運用」に関する知識が必要です。
    • コンテンツ分野 5(11%):テスト、検証、トラブルシューティング
      • 指標を用いたFM出力の品質評価から、RAGの検索精度検証、およびCloudWatch/X-Rayを活用したGenAI特有の実行エラーの診断・解消能力が問われます。

詳しくは公式試験概要を参照ください。 また、先人たちの知恵であるQiitaや、DeveloperIONRIネットコムBlogなどの合格体験記も非常に参考になります。

2. 基本的な学習リソース

まずは公式リソースを網羅し、試験の「型」を理解することから始めました。

  • 公式試験ガイド
    • 出題範囲のバイブルです。特に「対象外のサービス」を確認することで、学習範囲を効率的に絞り込めます。
  • Exam Prep Plan (Skill Builder)
    • 各コースの解説に加え、75問の本番形式の模擬試験が含まれており、ペース配分の練習に最適です。
  • Official Practice Question Set (Skill Builder)
    • 無料で受けられる20問の演習。解説が充実しており、AWSが求める解答ロジックのクセを掴めます。

これらのリソースを活用する中で、私は特に「実務経験の有無」によってドキュメントの読み込み方に強弱をつけました。以下に、私が重点を置いた領域をまとめます。

公式ドキュメントから読み解いた重点領域

  • Amazon Bedrock:マネージドサービスによる実装
    • 業務で使用経験があった Amazon Bedrock AgentKnowledge Bases は、公式の問題演習を通じてスムーズに実装イメージを補完できました。
    • 一方で、Guardrails による安全性制御、Flows によるワークフロー構築、Data Automation によるデータ処理など、初見の機能については、各パラメータの挙動や制限事項を細かく読み込みました。
  • Amazon SageMaker:柔軟なモデル展開
    • SageMakerに関しては実務での使用経験が少なかったため、AWS Certified Machine Learning - Specialty (MLS) の学習内容を振り返りつつ、Bedrockとの使い分けや、各機能の「できること・できないこと」を重点的に再確認しました。

しかし、これだけでは演習量が不十分だと感じ、最新ツールを用いた「自習環境のハック」へと踏み出しました。


■ 【後半】学習リソース不足をどう乗り越えるか?「AI試験官」構築ハック

「問題集がないなら、最新の知識を持つAIに問題を作らせればいい。」 そう考え、私は早い段階から、AWSが提供する生成AIツール「Kiro」をベースにした自分専用の学習環境を構築していました。後から知ると、やはりQiitaのts_pepetiさんのように、同じ課題感を持ってKiroを活用されている方もいらっしゃるようで、「考えることは皆同じだな」と親近感を覚えつつ、自分なりの「こだわり」を詰め込み、下に示すような一つの「学習システム(以下、AI試験官)」として昇華させました。

図1. AI試験官のインターフェース

本システムは、Kiroの「ローカルファイル操作機能」を核に構築しています。KiroがエージェントとしてJSON DBを直接読み書きすることで、学習ノートに基づく問題生成から回答履歴の保存までを自律的に完結させています。

私がめざしたのは、単なる一問一答ボットではなく、解けば解くほど自分に最適化される「アダプティブ・ラーニング・エンジン」の構築です。システム起動時に study_db.json から問題プールと学習履歴を読み込み、以下の4モードを使い分けます。

  • 学習モード: アダプティブエンジンが「今最も学習すべき問題」を自動選択。
  • 模擬試験モード: 30問をランダム選択し、本番形式で出題。弱点を可視化。
  • 学習分析モード: 正解率の推移をグラフ化。苦手分野から次に学習すべきトピックを推奨。
  • 技術ノート追加モード: 公式ドキュメントなどから得たエッセンスを「自分の知見」として構造化データに追加。

図2. 作成した自作問題集のバックグラウンドのメインフロー

図3. 作成した自作問題集のバックグラウンドのデータフロー

1. MCPによる「情報の鮮度」の担保

AIの内部知識だけに頼ると、最新のアップデートが反映されていない場合があります。私は MCP を活用し、最新のドキュメントや試験ガイドをKiroに直接マウントしました。

今回は aws-documentation-mcp-server のみを有効にしました。設定は以下の通りです。

{
  "mcpServers": {
    "awslabs.aws-documentation-mcp-server": {
      "command": "uvx",
      "args": ["awslabs.aws-documentation-mcp-server@latest"],
      "env": {
        "FASTMCP_LOG_LEVEL": "ERROR",
        "AWS_DOCUMENTATION_PARTITION": "aws",
        "MCP_USER_AGENT": "Mozilla/5.0 (Windows NT 10.0; Win64; x64) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/131.0.0.0 Safari/537.36"
      },
      "disabled": false,
      "autoApprove": ["search_documentation", "read_documentation"]
    }
  }
}

2. RAGによる「技術エッセンス」の抽出と問題生成

ここで重要なのは、規約を遵守した学習データの扱いです。公式の演習問題をそのままコピー&ペーストしてRAGに読み込ませることは、著作権および規約上、適切ではありません。

そこで私は、公式リソース(Skill Builderやドキュメント)から得た知識を、以下のプロセスで「自分自身の知識」として再構成し、RAGのソース(technical_notes.json)として活用しました。

※RAGは、外部知識(ドキュメント)を参照して応答生成する仕組みです。

【問題生成ワークフロー】

  1. 技術的要点の構造化(インプット) 公式の演習や解説から学んだ「AというユースケースではBという設定がベストプラクティスである」といった技術的なエッセンスや重要パラメータの挙動を、自分の言葉で要約した「学習ノート」としてまとめます。
  2. Kiroによる「試験形式」への変換(RAG参照) 問題生成時に「technical_notes.json に記載された技術要件に基づき、プロフェッショナル試験にふさわしいシナリオベースの問題を作成して」と指示します。
  3. 継続的なブラッシュアップ Kiroが生成した問題を解き、解説が不十分な箇所があれば、MCPで最新ドキュメントを確認し、再びノートを更新するサイクルを回します。

この方法により、規約を守りつつ、「自分が理解しきれていない技術領域」に特化した演習問題を、作成できるようになりました。
またKiroのAgent Steeringに抜粋した以下JSONファイルを作成することで毎回指示を出さなくてもRAG参照を行うようになります。

# AWS AI認定試験問題生成ガイド

## 問題生成の基本原則
問題を生成する際は、以下の順序で情報を参照してください:
1. **AWS Documentation MCP Server**(最新の公式情報)
2. **ローカル問題データベース**(`study_db.json`および`technical_notes.json`)

## 問題文の作成ガイドライン(良い例)
あなたは、Amazon Bedrockを使用して顧客サポートチャットボットを構築しています。
ユーザーの個人情報(PII)が応答に含まれないようにする必要があります。
最も効果的な実装方法はどれですか?
A. Amazon Comprehendを使用してPIIを検出する
B. Guardrails for Amazon BedrockでPIIフィルターを有効化する...

3. 「学習履歴」をJSON DBで永続化する

単発のチャット形式では、セッションが切れると弱点を忘れてしまいます。私はKiroに study_db.json というローカルDBを持たせ、全回答履歴を構造化データとして蓄積・参照させました。

{
  "user_stats": {
    "total_questions": 150,
    "correct_rate": 0.72,
    "weak_topics": ["Guardrails Exception Handling", "RAG Chunking Strategy"]
  },
  "history": [
    {
      "date": "2026-01-20",
      "topic": "Bedrock Agents",
      "result": "Incorrect",
      "reason": "Misunderstood Action Group timeouts"
    }
  ]
}

4. アダプティブな出題(弱点分析の自動化)

ここが最大のポイントです。私が構築したシステムは、単なる「問題生成ツール」ではなく、「自分専用の試験官」として機能します。

Kiroに「いままでの傾向を踏まえて問題を作成して」と指示を出すと、KiroがJSON DBを参照し、過去の回答傾向をもとに問題を選択します。以下のロジックで問題をパーソナライズします。

  • 苦手分野の優先出題:正解率70%未満のトピックを重点出題。
  • 誤答の徹底復習:過去に間違えた問題は再出題確率を2倍に設定。
  • 忘却曲線への対応:1週間以上見ていないトピックを優先的に復習。

この仕組みにより、「自分が今、最も解くべき問題だけを集中的に解く」という、市販の問題集では難しい学習体験が可能になりました。日々RAGのソースを増やすことで、問題の質が明確に改善していく感覚があり、その過程自体が学習を継続するモチベーションになりました。


■ 合格の証:Early Adopterバッジと受験の感想

2026年1月24日に受験し、無事に合格。また『Early Adopter』を勝ち取ることができました!

Credlyのバッジリンクはこちらです。

受験して感じたこと

  • 集中力との戦い:205分は想像以上に過酷です。40問台半ばで「まだ半分か……」と絶望しそうになりますが、AI試験官で「難問30問を一気に解く」トレーニングを積んでいたおかげで踏みとどまれました。
  • とにかくBedrock:演習問題を解くと分かりますが、本番でも Amazon Bedrock の深い理解が合否を分けます。
  • 「責任あるAI」という視点:従来のAI/ML試験に比べ、いかに安全に生成AIを使用するかというガバナンスの観点が非常に重視されていると感じました。つまり、それだけ実装力が問われているという前提で設計されている試験だと分かりました。

■ まとめ

AIP-C01は、2026年のエンジニアにとって「AIを使いこなす証明」となる重要な資格です。

参考書が少ないという状況を逆手に取り、MCP × RAGによる問題自動生成とアダプティブ学習エンジンを構築するプロセス自体が、実はこの資格が求める資質そのものだったと感じています。同じ資格に挑戦する方の参考になればと思います。


執筆者

野村 稜武
NTT西日本 サービス開発担当。新卒入社1年目。
クラウドインフラの自動化と生成AIの実用化に情熱を注いでいます。 現在は現場への技術還元を加速させるべく、「Kiro」や「MCP」のアウトプットに日々尽力しています。

参考資料

aws.amazon.com aws.amazon.com

docs.aws.amazon.com

商標

  • 「AWS」「Kiro」「Amazon Bedrock」「Amazon SageMaker」「AWS Skill Builder」は、Amazon Web Services, Inc.またはその関連会社の商標もしくは登録商標です。
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