はじめに
NTT西日本の酒井です。本記事ではTableauという分析ツールの生成AI機能を触りながらデータ分析と生成AIの未来について考察します。内容は記事執筆時点(2025年12月16日)時点の情報に基づきます。
対象読者
この記事は以下のような人を対象に書いています。
- Tableauと生成AIの連携に興味がある人
- 生成AIでデータ分析がどう変わるか考えたい人
背景
私はこの会社でデータ分析に関わる仕事に10年ほど携わってきました。ネットワークトラフィックの分析や社内でのデータ活用の推進、社内外のコミュニティ活性化、お客様向けのデータ活用・Tableau活用の支援などデータにまつわるさまざまな業務を行ってきました。しかし昨今では「生成AIの登場によってデータ分析やデータ可視化のスキルが生成AIに置き換わってしまうのではないか?」という言説にほんのりと不安になることがあります。そんな状況だからこそ生成AIは自分で触って使い道を考えていく必要があると考えていろいろ試してみましたので、その試行の記録と、その結果から考える生成AIとデータ分析の未来について考察したいと思います。
本記事の内容と目的
本記事ではTableauというデータ分析ツールの生成AI機能を試していきます。私のデータ分析のキャリアのほとんどにおいてTableauがメインツールだったので、最も使い慣れたこのツールの生成AI機能を試すことで生成AIがデータ分析、データ活用にどう役立つのかを考えていきたいと思います。
目次
Tableauとは?からはじまり、Tableau×生成AIのお試しをするための設定方法、実際に使ってみたレポート、考察という流れで進めます。
- はじめに
- 対象読者
- 背景
- 本記事の内容と目的
- 目次
- Tableauとは?
- Tableau MCPとは?
- Tableau MCPで利用可能な機能
- 今回の動作環境
- Tableau MCPの導入方法
- Tableau MCPを試してみよう!
- Tableau MCPの使い所はどこか?
- データ分析と生成AIの未来
- さいごに
- 商標
Tableauとは?
まずTableauとはなんなのか簡単に説明します。Tableauは、使いやすい直感的なUI(ユーザーインタフェース)と豊富なビジュアル表現が特徴的なデータ分析のためのツールです。BI(Business Intelligence)ツールと呼ばれる分野のツールで、Tableau以外にもMicrosoftのPower BIや、Qlik社のQlik Sense、ウイングアーク1st社のMotionboardなどがあります。BI各社も生成AIの機能をリリースしていますが、今回はTableauの生成AI機能に絞って検証と考察をしていきたいと思います。
Tableauでは本記事のテーマである生成AI機能の開発がとても活発です。2024年2月に登場した特定のKPIの動向を生成AIが要約してくれるTableau Pulseにはじまり、同じ年の夏にはデータ可視化をサポートしてくれるTableau Agentが、2025年には分析からアクションまでトータルにサポートしてくれるAIエージェントであるTableau Nextと、矢継ぎ早にさまざまな機能がリリースされています(これらの機能の詳細な説明は今回は割愛します)。
そして上記のTableauにビルトインされている機能以外にも、Tableau Langchain、Tableau MCPというオープンソースのプロジェクトも存在します。今回はこのうちのTableau MCPで何ができるのか?を試していきたいと思います。
Tableau MCPとは?
今年(2025年)の夏頃に公開されたオープンソースのプロジェクトです。生成AIに対してTableau ServerおよびTableau Cloudに格納されている情報にアクセスするためのスキルを提供します。ちなみにMCPとはModel Context Protocolの略で、Anthropic社が開発した生成AIのための標準規格のことです。生成AIが外部ツールやデータソースにアクセスするための共通プロトコルです。Tableau MCPはTableauの機能に生成AIがアクセスするための機能を提供しています。ちなみにAnthropic社はClaudeという生成AIを提供しています。
Tableau MCPについては以下のGithubリポジトリに詳しい情報があります。
前述の通りTableau Langchainという別のオープンソースプロジェクトもあるのですが、執筆時点(2025年12月16日)において最後の更新が5ヶ月前でありこちらの開発は最近は停滞している状況です。

反面、Tableau MCPは執筆日(2025年12月6日)の4日前にも更新されており直近でも多くのCommitがなされています。

おそらくTableauは注力領域をTableau LangchainからTableau MCPにシフトしているのだと思います。Tableau LangchainはLangchainというAIアプリ開発フレームワークでしか利用できませんがTableau MCPはオープン標準規格なのでClaudeやDifyなど多くのツールで利用できます。Tableau MCPに注力するのは自然な流れだと思います。
ということで本記事でもTableau MCPを使ってみて、使い道について考察をしていきたいと思います。
ちなみにTableau LangchainとTableau MCPについては、Tableauユーザー会のLT(ライトニングトーク)で私が発表した資料もありますのでよければご覧ください。
Tableau Langchain
Tableau MCP(本記事はこの内容を肉付けしたものです)
Tableau MCPで利用可能な機能
Tableau MCPでは以下の機能が提供されています。多いですがこの記事を読む上では覚える必要はありません。
- Data Q&A:データソースの一覧やメタデータの取得やクエリを投げることができる
- List Datasources
- Get Datasource Metadata
- Query Datasource
- Workbooks:ワークブック(Excelブックのようなもの)の情報を取得できる
- List Workbooks
- Get Workbook
- Views:ビュー(Excelのシートのようなもの)の情報を取得できる
- List Views
- Get View Image
- Get View Data
- Pulse:Tableau Pulse関連の機能。今回は取り扱いません。
- List All Metric Definitions
- List Metric Definitions
- List Metrics for Definition
- List Metrics
- List Metric Subscriptions
- Generate Insight Bundle
- Generate Pulse Insight Brief
- Content Exploration:Tableau ServerおよびTableau Cloud上のコンテンツ(ワークブックやデータソース)を検索できます
- Search Content
今の所、Tableau ServerおよびTableau Cloud上のワークブックやデータソースの情報を取得する機能が提供されていますが、ダッシュボードを作ったりグラフを作る機能は提供されていません。
Tableau MCPの機能は基本的にTableau ServerおよびTableau Cloudで提供されているAPIに依存してます。APIが提供されているものについてはTableau MCP側に機能追加される可能性がありますが、APIがないものはなかなか機能追加されないと思います。ダッシュボードやグラフの作成については現時点でAPI自体が提供されていないため実現には時間がかかりそうです(要望は多いと思うのですが)。
今回の動作環境
今回は以下の構成で検証を進めます。Tableau Cloud以外はローカル環境で実行します。
各ツールのバージョンは以下のとおりです。
- macOS: Sequoia 15.5
- Claude Desktop: 1.0.1768
- Claudeのモデル: Opus 4.5
- Tableau MCP: 1.10.3
- Tableau Cloud: 2025.3.0

Tableau MCPの導入方法
導入方法はとても簡単です。
1. Tableau ServerもしくはTableau Cloudを用意する
個人で準備するのは難しいと思われると思いますが、Tableau Cloudであれば検証用にDeveloperサイトを無料で開設できます。以下の記事を参考にぜひ試してみてください。簡単ですよ。
2. パーソナルアクセストークン(PAT)を作成する
以下の手順でPATを作成することができます。シークレットは1度しか表示されないのでメモ帳などにコピペしておいてください。

3. Claude DesktopにTableau MCPをインストールし各種設定をする
以下のとおりClaude Desktopの拡張機能として簡単にTableau MCPをインストールできます。




PAT nameに先ほど作成したPATの名前を、PAT Valueにシークレットを入力してください。
これで準備OKです!早速試していきましょう。
Tableau MCPを試してみよう!
以下のユースケースを想定して実際に動作を確認していきたいと思います
- ダッシュボードの検索
- ダッシュボードの使い方を教えてもらう
- データからビジネスの状況を教えてもらう
ダッシュボードの検索
Tableau Cloudには多くのダッシュボードが掲載されていると、自分に関係のあるダッシュボードを探すのも一苦労です。そこで生成AIの力を借りましょう
まずはTableau Cloudに掲載されているダッシュボードには何があるかを聞いてみましょう。

List Workbooksの機能を使って3つのワークブックがあることを教えてくれました。これらはTableau Cloudにデフォルトで格納されているサンプルワークブックです。それぞれどういう内容なのか知りたいのでURLも聞いてみましょう。

新たにTableau MCPの機能を使うことなくURLを提示してくれました。すでにURLの情報は取得していたようです。実際にリンクをクリックすると当該ワークブックにアクセスすることができました。
では自分の興味のあるダッシュボードを探してもらいましょう。売上に関するダッシュボードがないか聞いてみます。

するとSearch ContentとGet Workbookを使って関連するダッシュボードを探してくれました。Superstoreというワークブックに入っている具体的なビュー(ダッシュボードに当たるもの)の説明もつけてくれています。
Overviewというビューをみれば売上の全体概要が掴めそうなので、OverviewのURLを聞いてみましょう。

無事教えてくれました。アクセスしてみましょう。

Superstoreという架空の小売店の売り上げをまとめたダッシュボードが表示されました。自分の興味に合致するダッシュボードを探すことができました。なかなか使いやすいですね。
ダッシュボードの使い方を教えてもらう
ダッシュボードの使い方も慣れるまでは難しいものです。なのでダッシュボードの使い方も生成AIに聞いてみましょう。

Get View Imageという機能を使ってダッシュボードの画像を取得し内容を解析しているようです。ダッシュボードの構成を説明した上でフィルターを切り替えてみたいデータを見る方法も提示してくれています。ここまで説明してくれれば初めて見る人でも使い方をイメージしやすそうですね。
データからビジネスの状況を教えてもらう
とはいえダッシュボードを触りながらデータを深ぼっていくのも慣れない人からするとハードルがあつかもしれません。なのでこのダッシュボードで使われているデータを使ってデータ分析をしてもらいましょう。架空の設定として私はCentral Regionの責任者であり、Central Regionについて他のRegionと比較した良いところ悪いところを生成AIに提示してもらおうと思います。

List DatasourceとGet Datasource Metadataを使ってデータソースの基礎情報を取得しています。その後Query Datasourceにてクエリをいくつか投げて分析を行っています。どんな結果が返ってきたのでしょうか。以下がこの続きです。

売上、利益だけでなく利益率や顧客数、割引率までに着目してサマリーをまとめてくれています。また具体的にCentral Regionの良いところをいくつか示してくれています。では課題についではどうでしょうか?

割引率が高いせいで利益率が低いこと、どのサブカテゴリーの商品の利益率が特に低いのか、具体的な州についても触れてくれています。また2024年に利益が急落したという大きな変化も示してくれています。なかなか良い分析をしてくれていそうです。どう改善すれば良いのでしょうか?それも提案してくれていました。

かなり具体的かつ定量的な目標も含めて提示してくれています。最近の生成AIの優秀ぶりには本当に驚かされます。
せっかくなので最終的なアクションにも繋げていきましょう。州や製品の担当者に指示を出しましょう。

各担当者向けのメール文案を細かく作成してくれました。これは想像以上の結果でした。シンプルにClaude Opus 4.5の性能に驚きました。

かなり具体的な指示を丁寧に書いてくれています。内容のクオリティについては精査が必要とは思いますが、ダッシュボードの検索からメール文案作成までの一連の作業はこの記事を書きながら約30分で実施できました。すごいスピード感だと思います。データ分析者の仕事はなくなってしまうのか不安になってしまいますね。
Tableau MCPの使い所はどこか?
これまでみた通りTableau MCPではデータ分析に詳しくない人でも、自然言語を使ってデータから気づきを得ることができそうなことが見えてきました。ではダッシュボードは不要になるのでしょうか?おそらくそうではないと思います。ダッシュボードはビジネスを実施する上での健康診断のようなもので、定期的に同じ数値を確認し自分たちのビジネスや施策が予定通りうまく進んでいるのか、課題がないのかを見つめ直すために使います。こういった数値は生成AIに都度聞くのではなくダッシュボードとしてまとめておいた方がチーム全体での統一的な見解を持つことができると思います。Aさんが聴いた結果とBさんが聴いた結果がもし異なっていたら議論が食い違ってしまいますよね。ではTableau MCPのような生成AI機能は何に使えばよいのでしょうか?
大きく二つの用途が考えられると思います。 - データに触れるきっかけを作る - ダッシュボードではわからない質問をする
前者はさきほどの「試してみよう」の章でみてきたようなゼロからデータに触れるためのきっかけを作る用途です。ダッシュボードを見たり、データ分析者に質問をするのは多少のハードルがあるものです。ダッシュボードはどこにあるんだろう、下手に触って壊したら怖い、データ分析者にこんなこと聞いて恥をかかないだろうか、そんなハードルは生成AIであれば皆無です。気軽に生成AIに気になる情報を聞いてもらってデータで何がわかるのかを掴んでもらうのにはとても良いと思います。
後者はデータ活用がより成熟してきてダッシュボードによるデータ活用ができている状態において、スピード感が求められる調査に活用できます。会議にてダッシュボードをみながら利益率の低下といった課題が見えてきました。ではその要因はなんなのか分析したいがダッシュボードで用意された切り口以外の分析はできません。Tableauに慣れた人であれば、データ可視化機能を使って別の切り口での分析を行うことも可能、普段ダッシュボードを見るだけの人にはなかなか難しいです。そんなときでも生成AIを使えばすぐに質問をして、課題のあたりをつけていくことができます。それらしい仮説がうまれたら分析ができる人により詳細な分析を依頼することもできるでしょう。
いずれにしてもデータ分析のスキルが高くない人がデータを活用する入り口になると思います。
データ分析と生成AIの未来
Tableau MCPを試してみた感じたのは「生成AIはこれまで以上に簡単にデータに触れられる新しいユーザーインタフェース」だと感じました。これはBI登場の歴史にも似ていると思います。昔は基幹システムにバンドルされている分析機能やデータ出力機能を使っていて、求められる技術力も高く一部の人しかデータ分析はできませんでした。BIの登場により簡単にデータを分析できる環境が生まれ、より多くの人がデータ分析をできるようになりました。これにより現場で業務を回している人がみずからデータを見た判断がしやすくなりました。しかし簡単になったとはいえそれでも一定の基礎リテラシーやトレーニングが必要ではありました。しかし生成AIであれば同僚や部下に質問をするように自然言語で質問することで欲しいデータを得ることができます。これであればデータ活用のハードルをかなり下げることができます。この簡単さこそが生成AIによるデータ分析が生み出す価値だと思います。
ただしこの価値を享受するには大きな壁もあります。それはデータの整備です。BIを広めていく上でもデータ整備は大きな壁でしたが、生成AIではさらに大きな障壁となります。BIを使う際は人がデータを見て誤りを検知したり、修正するフローを組んだりすることができました。しかし生成AIにそれができるでしょうか?現時点では分析者ほどの精度では実現できないと思います。そのためAIが使いやすいデータを整備することの重要性が高まります。実際にそういった議論がさまざまなところで行われています。生成AIのためにデータ整備が進めばBIを使ったデータ分析もしやすくなるので、この生成AIのブームに乗って日本中のデータ整備がすすむことを願います。
さいごに
本記事ではTableau MCPを使って生成AIとデータ活用の未来を考えました。最初の疑問であった「生成AIの登場によってデータ分析やデータ可視化のスキルが生成AIに置き換わってしまうのではないか?」についてはどうでしょうか?現時点ではすぐに置き換わることはなさそうです。ポイントはデータ整備とドメイン知識です。やはりデータの整備やメタデータ(データの各列の意味などをまとめたデータ)の整備がなされていないと生成AIも正しくデータを見ることができません。また職場それぞれにある特有の商習慣やドメイン知識をとらえるのもまだ難しいでしょう。しかし今後データの整備が進み、生成AIに職場独自の知識を与え、生成AIの精度も高まっていけば生成AIが置き換えられる領域は増えていきそうです。とはいえ今回Tableau MCPを触ってみて思ったのは不安よりもワクワクでした。やはり新しい技術が新しい価値を生み出す瞬間はワクワクします。データ分析人材として生成AIを脅威としてとらえることも重要ですが、それ以上に新たな武器として使いこなしていきたいなと思いました。生成AI時代のデータ分析者としての自分らしい強みを見つけていきたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。
商標
- 「Tableau」「Tableau Cloud」「Tableau Server」「Tableau Pulse」「Tableau Agent」「Tableau Next」は、Salesforce, Inc.の商標または登録商標です。
- 「Microsoft」「Power BI」は、米国Microsoft Corporationの商標または登録商標です。
- 「Qlik」「Qlik Sense」は、QlikTech International ABの商標または登録商標です。
- 「MotionBoard」は、ウイングアーク1st株式会社の商標または登録商標です。
- 「Claude」は、Anthropic, PBCの商標または登録商標です。
- 「Mac」「macOS」は、米国Apple Inc.の商標または登録商標です。
- 「Dify」は、LangGenius, Inc.の商標または登録商標です。
- 「LangChain」は、LangChain, Inc.の商標または登録商標です。
- 「GitHub」は、GitHub, Inc.の商標または登録商標です。