1. はじめに
こんにちは。NTT西日本の三浦です。
皆さまは、「特定のAWSサービスの情報を調べたいけど、適したAWS公式ドキュメントがすぐに見つからない...!」といったお悩みはありませんでしょうか?
AWS公式ドキュメントの数は膨大な量になるので、その中からピンポイントに必要な情報を見つけることは大変です。
さらに、見つけた情報が最新かどうかの確認や、複数のドキュメントを横断した調査には多くの時間がかかってしまいます。
本記事では、そういった悩みを解決するアプローチとして、AWS Documentation MCP Serverをご紹介します。 生成AIとAWS Documentation MCP Serverを連携させることで、AWS公式ドキュメントの検索・参照が自動化され、従来の問い合わせ対応が劇的に効率化されます。
2. 対象読者
本記事が想定する対象読者は以下の通りです。
- AWS公式ドキュメントへの効率的なアクセス方法を求めている人
- MCPについて知りたい人
- CCoE担当者や、または日常的にAWSなどの技術的な問合せを受けている人
3. 背景・目的
私は担当の業務として、日々多くのAWSの技術的な問い合わせを受けています。
「技術検証を行っているが、IAM権限エラーが出て困っている」「こんなイメージでネットワーク接続を実現したいが、設定方法がわからない」といった質問に対して、迅速かつ正確な回答を提供する必要があります。
従来はブラウザでAWS公式ドキュメント等を検索しながら回答していましたが、この方法では次の課題がありました。
- 膨大な情報の中から、ピンポイントに適した情報(特に、信頼性のある公式ドキュメントの情報)を見つけることが大変
- 見つけた情報を一つ一つ確認して、それが回答として適した情報かの解釈に30分~1時間程度の時間がかかる
- 質問者への回答作成に時間がかかる
そこで、Model Context Protocol(MCP)を活用したClaude DesktopとAWS Documentation MCP Serverの連携を試したところ、問い合わせ対応の効率が改善されました。
この経験を共有し、同じような課題を抱える方々の参考になればと思い記事にしました。
4. 用語の解説
そもそも「MCPって何?」という方へ向けて、本記事で登場する重要な用語について解説します。
◆ MCPとは?
Model Context Protocol (MCP)とは、Anthropic社が2024年11月にオープンソース化した、生成AIが外部のデータやツールと連携するための新しい標準規格のことです。
従来はAIアプリケーションから外部のデータやツールにアクセスするには、個別にカスタマイズする必要がありました。 これらの連携方法をMCPによって標準化することで、AIアプリケーションから様々なデータやツールと簡単に接続できるようになります。

◆ AWS Documentation MCP Serverとは?
AWS Documentation MCP Serverとは、生成AIがAWSの公式ドキュメントにアクセスするためのMCPに対応したツールのことです。
AWS Documentation MCP Serverは、主に次の機能を提供します。
- ドキュメント読み取り:AWS公式ドキュメントをMarkdown形式で取得
- ドキュメント検索:公式検索APIを使用したAWS公式ドキュメントの検索
- 関連ページ推奨:AWS公式ドキュメントに関連する推奨のページを取得
AWS Documentation MCP Serverの実態は、公式検索APIやドキュメント取得用のAPI等に対して問い合わせを行うラッパーサーバーです。 生成AIからドキュメント検索用に用意されたAPIを利用する際の橋渡しのような役割を担っています。
5. 動作環境・前提条件
AWS Documentation MCP Serverを利用するには、MCPクライアントとなる生成AIが必要です。
本記事では、例としてWindows版のClaude Desktopを利用して、AWS Documentation MCP Serverを利用するための設定手順を紹介します。
動作環境は次の通りです。
- システム要件
- OS:Windows 11
- Claude Desktop
- バージョン:Windows版の最新バージョン(推奨)
- インストールがまだの方は、公式サイトからダウンロードおよびインストール、ログインまで実施してください
- バージョン:Windows版の最新バージョン(推奨)
なお、本記事の構成は無償版のClaude Desktopでも動作します。
6. Windows環境での設定手順
実際にWindows環境で検証した結果を基に、手順を説明します。
手順はAWS Documentation MCP Serverのドキュメントをベースに記載しておりますが、皆さまの環境によっては一部の手順が異なる場合があることにご注意ください。
◆ Step 1: 必要なツールのインストール
AWS Documentation MCP Serverの利用に必要な環境をインストールします。
コマンドプロンプトを開いて以下のコマンドを実行します。
実行後しばらく待つとインストールが完了します。
powershell -c "irm https://astral.sh/uv/install.ps1 | iex"
インストールができたら、uv が適切にインストールされているか確認します。
uv --version
次に、Python 3.10以降がインストールされているか確認します。
python --version
もしもPythonがインストールされていなければ、以下コマンドを実行してPython 3.10(またはより新しいバージョン)をインストールします。
uv python install 3.10
◆ Step 2: Claude Desktop設定ファイルへのアクセス
Windows環境でのClaude Desktopの設定ファイルを開きます。
設定ファイルへのアクセス方法:
- メニューもしくは画面左下のアイコンから、「設定」をクリックして設定メニューを表示する
- 設定メニューにて「開発者」、「設定を編集」の順にクリック
- 表示された「claude_desktop_config.json」を任意のエディタで開く
◆ Step 3: Claude Desktopの設定
claude_desktop_config.jsonファイルに以下のテキストを貼り付けて保存します。
{ "mcpServers": { "awslabs.aws-documentation-mcp-server": { "disabled": false, "timeout": 60, "type": "stdio", "command": "uv", "args": [ "tool", "run", "--from", "awslabs.aws-documentation-mcp-server@latest", "awslabs.aws-documentation-mcp-server" ], "env": { "FASTMCP_LOG_LEVEL": "ERROR", "AWS_DOCUMENTATION_PARTITION": "aws" } } } }
注意:
- JSONファイルの構文エラーがあるとClaude Desktopが正常に起動しません
- 編集前に設定ファイルのバックアップを取ることをお勧めします
- 他のMCPサーバーを既に設定している場合は、インデントやカンマの位置にご注意ください
◆ Step 4: Claude Desktopの再起動
設定ファイル保存後、Claude Desktopを再起動します。
Claude Desktopの左上のメニューから、[ファイル] > [終了] をクリックして終了します。
その後、改めてClaude Desktopを起動してください。
Claude Desktopの「✕ボタン」を押して閉じるだけでは再起動されないのでご注意ください。

◆ Step 5: AWS Documentation MCP Serverの起動確認
Claude Desktop起動後エラーが表示されないことを確認します。
Claude Desktop画面左下の自身のアイコンから、[設定] > [開発者]の順に選択して、AWS Documentation MCP Serverのステータスが「running」になっていることを確認します。

新規チャットにてAWS Documentation MCP Serverが表示されていれば、設定は終わりです。

7. 動作確認
以下の質問で機能確認を行います。
精度の比較として、①AWS Documentation MCP Serverを無効にして質問した場合と、②AWS Documentation MCP Serverを有効にして質問した場合で対照実験を行います。
AWS Lambda SnapStartの対応ランタイムについて教えてください。 回答は対応ランタイムだけリストして答えてください。
なお、期待する回答は以下になります。
AWS Lambda SnapStartのPythonや.NETへの対応は2024年11月18日にリリースされた機能になるので、Claude Desktopの回答の精度に違いがでるかを検証します。
- Java 11以降
- Python 3.12以降
- .NET 8以降
◆ ①AWS Documentation MCP Serverを無効にして質問
まずは、AWS Documentation MCP Serverを無効にして質問した結果を示します。
Claude Desktopが記憶している古い情報を元にした回答になっており、回答に誤りがあることがわかります。
AWS Lambda SnapStartの対応ランタイムとして、Javaしかリストされておらず、Pythonや.NETに関する記載はありません。
なお、回答内容はお手元の環境で実行した場合では異なる場合があります。

◆ ②AWS Documentation MCP Serverを有効にして質問
次に、AWS Documentation MCP Serverを有効にして質問してみます。
実行時、「Claudeがこのツールを使用したいと思っています」とポップアップが表示された場合は、「一度だけ許可」もしくは「常に許可する」を選択してください。
ツール利用毎にClaudeからの確認が必要ないなら、「常に許可する」を選択してください。

AWS Documentation MCP Serverを利用して、公式ドキュメントを検索・参照します。 回答内容を確認すると、期待する回答と一致しており、最新の情報が取得できていることがわかります。

また、AWS Documentation MCP Serverのツールアクションの内容を確認すると、今回の質問に該当する公式ドキュメントを参照していることがわかります。

8. まとめ
今回の記事では、MCPの概要とAWS Documentation MCP Serverについて紹介いたしました。
CCoE担当者、テクニカルサポート、ソリューションアーキテクトなど、日常的にAWSドキュメントを参照する業務に従事する方に特に有効だと思います。
従来のブラウザ検索では、複数のAWSドキュメントページを手動で確認し、情報を横断的に確認する必要がありました。今回の動作確認は簡単なデモでしたが、実際の問い合わせ対応や技術調査では、AWS Documentation MCP Serverを活用することで以下の具体的な改善が実現できます。
- 検索精度の向上
- 曖昧な技術用語でも関連ドキュメントを包括的に抽出することができる
- 複数サービス間の依存関係も含めた情報収集が可能
- 作業時間の短縮
- これまで30分程度かかっていたドキュメント調査が2~3分程度に短縮
- 情報品質の担保
- AWS公式ドキュメントのみを参照するため、信頼性が高い
AWS Documentation MCP Serverの他にも、AWS Labs では、AWS MCP CollectionとしてAWS Knowledge MCP Server、AWS Pricing MCP Serverなどの様々な便利なMCPが提供されています。こちらに関しても今後ブログ記事を執筆していきたいと思います。
執筆者
三浦大輝(NTT西日本 ビジネス営業本部 エンタープライズビジネス営業部所属)
クラウドエンジニアとして、主にAWS導入プロジェクトや社内のクラウド人材育成を担当しています。
2024 Japan AWS Top Engineers
商標
- Amazon Web Services、AWS、AWS Lambda、および本記事で言及されるその他のAWSサービス名は、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。
- Claude、Claude Desktop、およびAnthropic関連の名称は、Anthropic PBC の商標です。
- Microsoft、Windows、Windows 11は、Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
- Python は、Python Software Foundation の登録商標です。
- その他、記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。
免責事項
- 本記事の内容は執筆時点(2025年9月)の情報に基づいており、サービスの仕様変更等により内容が変更される可能性があります。
- 本記事で紹介する設定手順や使用方法は、特定の環境での動作確認に基づくものであり、すべての環境での動作を保証するものではありません。
- AWS Documentation MCP Server は AWS Labs によって提供されるオープンソースプロジェクトであり、AWSの公式サポート対象外です。
- 本記事では生成AIを活用した内容が含まれており、AIによる情報の生成過程でハルシネーション(事実に基づかない情報の生成)が発生する可能性があります。記載内容の正確性については、必ず公式ドキュメントや信頼できる情報源で検証してください。